2014年09月05日

高橋丈夫さんインタビュー(6)最後のメッセージ・・・放射能対策・環境悪化の時代を乗り切るために

おかげさまでご好評いただきました、高橋丈夫さんのENNインタビューですが、とうとう今回が本編の最終回です。

以前にもお伝えしましたが、これは2011年3月11日の震災から2か月程度後に収録されたものです。
その頃放射能対策について早急な対応が必要だったにも関わらず、とくに既存の枠組みから外れたことに対して、国や地方行政が動くのはかなり難しかったということがわかります。
また、農業や畜産業では近年、鳥インフルエンザとか口蹄疫などの流行が問題になり、生産者の方々にとっては、日ごろから動物が病気にならない環境をつくろうという意識があったかどうかが問われたと思います。

これからは、今までにない災害が起こるなど、自然環境の悪化の影響がどんな形ででてくるかわかりません。
いざという時になってだれかに頼ろうとしても頼りにならないかもしれないので、あらかじめ自分なりに必要な知識を得ておくことが大切かもしれないですね。
そのためにも高橋さんのお話はぜひ知っておいてほしいと思います。

それから、このインタビューだけでは伝えきれなかったかもしれませんが、高橋さんからは非常に大切なことを教えていただいた気がします。
それは何かといえば、
「一見最悪と思える現状に、素晴らしい未来をつくるチャンスが隠されている」
ということです。
それもいわゆる精神世界や成功哲学だけの話ではなく、本当に自然界の中にはそのような現象があり、自然の中には私たちが一面だけでは決めつけることのできない無限の可能性があるのではないか? ということです。

災害でひどい目にあった被災者の方々は、きっと最悪の状況にすべてを投げ出したくなると思います。
でもその被災経験から何かを見出していけば、10年後、20年後は最高に強い状況になっているかもしれません。
高橋さんのお話を聞いていると、そういう可能性を自然界は必ず残してくれている気がするし、まず自分があきらめたり希望を捨てないことが大事だと思えるのです。

なおこのインタビューの編集にあたり、大変高度な話で私の頭では理解が難しかったところも、かみ砕いてわかりやすく説明してくださった常陸舗道代表の登坂将司さん、難しい話の文字起こしを快く引き受けてくださった富吉美幸さん、ENNインタビューを実施し資料をご提供くださった幸塾・グリーンオーナークラブの大下伸悦さん、菅原克行さん、根本佳代子さんほかスタッフの皆さま、途中になってしまった出版企画でデザイン案を考えてくださった大塚のり子さん、高橋さんとの再会のきっかけをくださった寺田啓佐さん、写真も提供くださった寺田優さんほか寺田本家の皆様、照沼勝一商店の照沼勝浩代表、その他たくさんのお世話になった皆様、高橋さんと関わってくださった皆様、そしてお読みくださった皆様に心より御礼申し上げます。

このインタビューがあった際には、一度病床から立ち直っておられた高橋丈夫さんですが、その後、2012年の1月にこの世から旅立たれました。

体調も思わしくない中、私たち残された人たちのために、最後まで重要なメッセージを残してくださった高橋さんに心より感謝し、ご冥福をお祈りいたします。

今回の内容は今のところ、ブログでの公開のみになっておりますが、高橋さんのお話はぜひ本としていつか出版したいと思っています。
もし「本を読んでみたいexclamation」と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、ぜひお知らせください。
実現した際はご連絡させていただきたいと思いますmail to

HPのお問い合わせフォームをご利用ください。
メールは daihyo@liumeis.com まで(@を小文字に変えてください)

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5.最後のメッセージ・・・放射能対策・環境悪化の時代を乗り切るために

―最後に、震災を乗り切るための先生ならではのメッセージというか、ヒントのようなものを何かいただきたいと思います。

僕は今回、野菜の販売を少しの間止めましたし、いろんなことをしてきました。
それで僕なりに考えたことがあります。
一つは、微生物学的にいうと、例えば今お話した光合成細菌だとか、法線菌、納豆菌、乳酸菌といった、もうこれは素晴らしい菌だと思うものたちは、このレベルの放射線量でDNAを傷つけられるということはまず考えられません。
なおかつ、十分消去できる可能性もあります。

いろいろな形で報道されている中で、原発が普段動いている時の循環水の処理には、炭を使っているという話がありました。それから三号機の水漏れの時に、試験的にゼオライトを入れるという話もありました。
これはどういうことかというと、僕たちが自然な状況で、腐敗環境から脱するために昔からやっていることをやっていれば、何ら心配はないだろうということです。

例えば栃木県で昔から蔵を作るときに使う大谷石もゼオライトです。
大谷石で蔵を作るというのは、陽イオン交換といって、プラスイオンを吸着するからですね。
射性物質もプラスイオンなんです。
ゼオライトがそういうものを消去する可能性があるというのは、栃木県ではとっくの昔から言われていたんですね。
それが今までは表になかなか出てこなかっただけです。

先ほど言いましたように、腐敗菌というのは外側の膜の電位がプラスの状態にあります。
納豆菌、乳酸菌や光合成細菌といった、腐敗じゃなくて発酵に移行させようとする菌というのは、外側を包む硬質膜がマイナスになっています。
だからたとえばプラスの腐敗菌同士が一緒になっても、分解するという結果に至らないわけですよね。
腐ったものというのは大体がプラスの高分子体です。
僕らの体はプラスの低分子体を吸収する、要するに腸から入れて体の栄養にしていくという構造になっているわけです。
これが例えば便秘になったり、腐ったものを大量に入れてしまって、腸壁がマイナスに帯電しているところがプラスに傾いてしまったら、そこからばい菌が入っちゃうわけです。
腐ったものが入ってしまって腐敗するということ、つまり高分子の腐敗物質がそこにできて、病気になるという、それだけの話です。
ですからマイナスの電荷を持っているゼオライトや炭は本当に素晴らしいんです。

実は福島県にも大谷石のような岩石がたくさんあるんです。
福島県の中でも各市町村で、例えばその町にどのくらいの放射線量があるのかっていうのを、ちょっと調べてみればわかると思います。
素晴らしい土質があるところを調べると、そこが極端に放射線量が低いんです。
実は僕のいる益子町も、粘土鉱物が多いから極端に低いんですね。

 ですからそういうようなことを丁寧に調べていって、考えていけば、僕らは早くそういう世界から脱出できるであろう、というふうに思います。

ただ今回、僕の友人たちが福島県庁などいろんなところに行って、その可能性について提言してきましたが、その結果、光合成細菌にしろ何にしろ、全部拒否されました
これはどういうことかというと、日本国内では、日本の大学及び、多分権益・利益をもたらせるであろう農林水産省から降りてくるようなものでない限り、試験対象にはならないということです。

―ええ? これだけ放射能対策が早急に必要なのにですか?

はい、ですからどんなにいいもの、放射能を消去するようなものが福島県にあっても、国からのお金を待っていたら、福島県の人たちは自分たちで何も利用できないということになるんです。
ずっと最後まで、国からお金が来るのと同じような条件で待っているしかないんです。
でも本当にそれでいいんだろうか、と思いませんか?

僕たちのように、「そうではないだろう」と思っている人も大勢いますよ。
ですから少なくとも今回、東北や関東など東日本の人たちは、放射線量がいくらで、どの程度であろうとも、被ばくしたという自覚を持ってほしいんです。
そこから自分たちが変えていかないと何も生まれないですよ。

国から来るものというのは一部の誰かの利益のためであって、その町民たち、地元の人たちがその土地を豊かにするための方法ではないんです。
ですから自分たちが、国からの補助金に頼らない形でいろんな情報を集めて、「自分たち自らが次の世代の土地を守っていく」という意識に変わらない限り、福島県だけじゃなくてすべてが変わりません

だからそういう点だけを見れば、不謹慎だと言われるかもしれませんが、今回の事故は非常にいいきっかけになったというふうに思いますよ。

今までいろいろなところで、農業環境の悪化っていうことが言われてきました。
要するに新しい病原菌が出たり、ウイルスが出たりということがあったわけです。
それは私たちがみんな、農林水産省から「こういう農薬を使いましょう」とか、農協から「こういう化学肥料を使いましょう」とか言われて、上からのものをただ待っていただけだったからです。
それは自分の利益しか考えてなかったわけですね。

そうじゃなくて、先ほど光合成細菌の話で言いましたように、自分たちがどういう目的で、それをどんな形で利用しようとしてるかを考えるんです。
「これを使うとどういう結果が生まれて、環境がどこまでどういうふうに変わってくるか」というのをイメージした時に初めてそれが生きてくるんですよね。

だから今回の原発事故でも多くの情報が伏せられていて、ほとんどの人たちが「どういうふうにすればこの放射線を消去していけるか」っていうのがわからないだろうと思うんです。
でも普通に良いことをすればいいんです。
普通に土壌環境を良くすること、普通に電場環境を良くすること、普通に健康になるような食品を食べることです
その延長上には放射線に対する過度な心配だったり、変異したウイルスに頭を悩ますということは存在しないということです。
それを丁寧にやっていくのは自分たちしかない、というふうに思っています。

―はい、いかがでしたでしょうか。高橋丈夫先生のお話、また今回も改めて、有用微生物の重要性しっかりと実感できました。私も光合成細菌の培養を家でやってみたんですけど、うまくいったのといかないのがあって、今日はっきり理由がわかって、とても納得できました。
これはやっぱり子育てにも本当に共通しているなというふうに思いました。光合成細菌の培養は本当にやってみるとどういうわけか、自分が培養したものに愛着が湧いて、可愛くなってくるんですね。これは私にとっても新鮮な感覚でした。皆さんもぜひやってみられるといいと思います。
先生、今日は貴重なお話、ありがとうございました。

(本文おわり)
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最後までお読みいただき、ありがとうございましたぴかぴか(新しい)

2014年09月02日

高橋丈夫さんインタビュー(5)光合成細菌

今年も子どもたちの学校の夏休みが終わりましたね。
うちの娘も、友達や普段なかなか会えないいとこたちと会って、海や川や山、お祭りや映画や花火や博物館、普段やらないゲーム(笑)と目いっぱい楽しみ、最後は慌てて宿題をやるというお決まりのパターンでした晴れ

親たちも週末やお盆休みは、子どもに付き合うのを名目に、たくさん楽しんで、たくさん飲んで(笑)幸せいっぱいな気分になりましたわーい(嬉しい顔)
8月最後の数日は私も家にこもり、子供につきっきりで、宿題が嫌になってキレる子供をなだめつつ指導と監視を(そしてたまった家事を夫が処理)するはめになりましたが・・・なんだかすっかり我が家の恒例行事になっていますが、こういうのっていつまで続くんでしょうねたらーっ(汗)

さて、高橋丈夫さんのENNインタビュー文字起こし5回目。今回は光合成細菌についてです。

これまで養鶏や土壌菌を生かした野菜作り、カブトエビ農法での稲作と、高橋さん独特の興味深い手法がありましたが、こちら
も高橋さんならではのとても深〜〜いお話になっています。

高橋さんが遺してくださった光合成細菌の研究と応用は、ぜひこれからの世の中に受け継いでいきたいですね。

私もグリーンオーナークラブで農業と出会いましたが、優れた農業指導者の方々というのは、何にでも応用できる哲学をお持ちなんだなあ・・・といつも感心させられます。
農業関係者だけでなく多くの方にそれぞれの分野でぜひ参考にしてほしいお話です。

うちの子どもにも「何のために勉強し、夏休みの宿題を終わらせるのかexclamation&question」というところからまず教える必要がありそうですグッド(上向き矢印)


 
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(5)光合成細菌

―では次に、今幸塾とグリーンオーナー・プロジェクトでもみんながとても興味を持っていて、ちょっとしたブームにもなっている、先生のところの光合成細菌、光合成微生物のお話をしていただきたいと思います。
私たちの間では今、もしかして光合成細菌が放射能対策にもなるのではないだろうかということで、何かの集まりがあるごとにみんなが空のペットボトルを持ってきて、光合成細菌のおすそ分け大会が繰り広げられているんですね。
先生のところでは確か培養するときに鰹節を使うんでしたよね。

まず光合成細菌と出会ったきっかけのお話をしますと、昔NGO活動をしていた時に、インドのミャンマー国境近くにあるミゾラム州の、チンチップ村という可愛らしい名前の村に行ったことがあったんです。

その村では家の外側の、日の当たる南側のところにトイレの水、体を洗った水、炊事の残り水が落とされていたんですね。
そうするとそこに小さいドブができますよね。
その水を犬、猫、鶏、子豚といった、家で放されている動物たちが飲むんです。
動物たちはこの水を飲んでると元気なんですけど、たとえば鶏がもう卵を産む時期になったからとか、豚が大きくなったからということで、小屋に入れて新鮮な水を与えはじめると病気になるんですよ。

―ええ? 逆じゃないんですか? 

それが反対なんですよ。
つまりその水たまりで浄化されているということですね

要するにそれは多分、排水を浄化するための光合成細菌が発生して、その環境に存在するいろいろな微生物群とのエネルギーの協調関係の中で、酸素の交換や炭酸ガスの交換を含めたことが行われていた、ということだろうと思うんです。

僕も鶏を飼っていて、たまに外の水たまり、水桶が真っ赤になることがあるんですよ。
本来、光合成細菌というのは、硫化水素といったものを分解して、水素を放出する菌だといわれているんですね。
「その菌がいて真っ赤になるということは、そこに硫化水素があるのかな? でもそんな硫化水素の水を鶏が飲んだら死んじゃうよね?」と思ったんです。
ところがそういう真っ赤な水ができたとき、長続きはしないんだけど、鶏が元気になるんですよ。

そうしたら、小林達治さんという方の光合成微生物の本があるんですけど、その最後のほうに、「世界中の数ある光合成細菌の中には、硫化水素を分解するだけではなく、炭酸ガスを分解して酸素を放出する菌もあるらしい」という一節があるんですね。
それで僕はひょっとしたらそれなんじゃないかな? と思ったんです。
そうでなくても飲み水が赤くなっても鶏が死なずに元気になるのなら、そのチンチップ村で見た光景と重ねるようにして、いつもどこかで培養できて、それが蒸発するような環境ができないかと思ったんです。

それからチンチップ村ではもっと面白いことがあるんです。
犬と猫とヒヨコちゃんが、一緒になって昼寝してるんですよ。

―えっ? 猫とヒヨコが一緒にいて、食べられたりしないんですか?

彼らは相手をエサとして全部認識してないんですね。
だから絶対襲わないんです。

飼っているのは貧乏な家で、エサは家主が窓からポーンとご飯の残りを捨てるだけなんですよ。
それを鶏と猫と犬が、ワ―っと寄ってきて食べるわけですよ。
それでヒヨコはあせって、わわわわわーってやってる間にみんな食べられて終わっちゃうから、草の実みたいなの小さいものを探してなんとか食ってるんです。

そんなふうに、犬や猫たちは自分たちはお腹がすいている状態なのに、それでもヒヨコをエサとは見ていないんですよ。
ところが家主は、赤い犬が生まれると「食えるー!」と喜ぶ人たちなんですよ。赤毛の犬が大好物なんです。
そういう家主に飼われている動物たちなのに、お互いを食べたりしないんです。

だから日本でも多分、昔はそのようなことがあったのではないだろうか? と思うんです。
それは空気中の微生物バランスと脳とで、何らかの共振関係があったからだと思うんですよ。
そうでもなければ、犬を食っちゃう人間が飼ってる動物たちが、相手を食べるという認識を起こさないなんていうのは、理解しようがないですよ。
喧嘩をするのだって、せいぜい老けたときのオス同士の猫くらいです。

だからそういう環境を日本でも取り戻せないか、と思っているんです。

もう一つ大事なことは、今の日本の環境の中で、その光合成細菌が一番消失していると思われることですね。
なぜかといえば、先ほどカブトエビのところで話をしましたように、今の日本の田園には四ヵ月しか水がないからなんです。
昔は水が一年中ありました。
つまり小川が冬でもちゃんと流れていて、二月ぐらいにはもうカエルの卵がよどんだ水のところにできていたりしました。
僕らはいろんな魚たちがその辺に埋もれてるからといって、土を掘りながらドジョウを捕ってきたり、泥水に手を突っ込んでナマズを探してみたりというような生活をしていたんです。
ところがそれが今は一切ない。

そのなくなった環境の中に光合成細菌がたくさんいたんですよ。
それが飛散していって、いろんなところでいろんな微生物との協調関係を築いていたんです。
それが今は四ヵ月しか水がなくなってしまったために、全体的な環境の中で光合成細菌の量が極端に少ないんです。

だから僕は、いろんな人たちに培養してもらって、その人たちが自分で使うということも必要ですけど、そこから蒸発させ、飛散させていろんな環境に行ってもらいたい、皆さんにはそれも一つの目標として培養してほしい、というふうに思ってるんですね。

光合成細菌は、太古の昔にシアノバクテリアなどが大気中の炭酸ガスを分解して、酸素をこの世に送るという活動を始めた頃からの微生物です。
つまり昔地球上が放射線や化学物質、ウイルスだらけの状態で、海の生物の時代だった頃から生きていた微生物なんです。
要するにそれは、この微生物が、そんな人間の住めない環境を今の環境に持ってきてくれた、一番大きな助っ人であろうということなんです。
もちろんシアノバクテリアもそうですけど、そういう流れの中で考えたときに、やはり減った分は増やしていかないといけないというふうに思ったんです。
今農業の現場で農薬の使いすぎなどによって、ウイルスが異変を起こして、農作物が病気になるなどの現象が起こっていますね。
それは太古の、生物にとって悪しき環境だった時代へと、今少しずつ近づいているということなのかもしれません。

僕はこの光合成細菌の普及を始めて、この細菌を増やすことがそういう問題を消去するのに非常に有効だろうと思いました。
それくらいこの菌には効果があるということがだんだんわかってきたんです。

ですから培養することが目的ではなくて、大事なことは、どういうものに飛散して飛んで行ってほしいとか、どういうときにスプレーで使ってみようとかいった目的意識ですね。それがはっきりしてないと培養は成功しません
もしただ単に培養が目的であったとしたら、その微生物たちは「じゃあ自分たちは一体なんなのよ?」と思うでしょう? 

―なるほど、そうですね。

今回の放射能の問題で、野菜を育ててみたけど出荷はされない。そんな野菜を育てていることほど悲しいことはないですよね。
そういう無目的なことを続けてしまうと、ものって絶対うまくいかなくなるんですよ。
野菜は「食べてくれる方がどういう形で、どれほど元気になっていただくか」といったイメージを持って作るし、卵も同じで、「食べた方がアレルギーで苦しむことがなくて、パンもこんなにおいしくなって、ケーキもこんなに膨らんで」というようなものを最初からイメージして、それにとりかかるわけです。

ですから光合成細菌の培養もそうです。
環境がどれくらい光合成細菌を欲しているかというのをもうちょっと具体的に頭にイメージして、その中で「どういう形で飛んでいっていただいて、自分はどういう形で使っていくんだ」といったイメージができればできるほど、ちゃんと培養できるようになってきます

―ああ、それですごく納得できました。
二〇〇八年に先生から頂いたほうの光合成細菌は、あんまりうまくいかずに、とっても印象的な香りだけを残してしまいました。
それもまだとっておいてありますけど、もう一つの最近分けてもらったほうは結構元気があるんですね。
やっぱりその意識の違いなんですか。

そうですね。ですから自分がどういう意識で、どういう使い方で、どういうふうにしたいかが大事なんですね。
これは子供を育てているときと一緒です。
「遅刻しちゃうじゃない!」と親は言うけど、「遅刻するな」と言う以上に、子供に「あなたは何のために生きていて、どうして遅刻しないようにするのか?」っていうのを自覚させるほうが大事なのと同じですね。
その意識をちゃんと持ってないと無理なんですよ。

―なるほど、わかりやすいですね。すごく納得できました。

(次回に続く)

2014年07月24日

高橋丈夫さんインタビュー(4)震災による影響

今年もまた暑い夏がやってきました。
何かとシンガポールでの生活を思い出し、東南アジアの料理が恋しい日々です。

シンガポールといえば…切っても切れない関係の隣国マレーシアのMAS(マレーシア航空)が今大変なことになっていますねふらふら
7月17日に起きたとされるMH17便撃墜事件も、いろいろなところで見かける情報ではまだまだ謎ばかりで、一方的にどこの仕業というには時期尚早のようです。

私も学生時代に東南アジアを一人旅した時から、MASには幾度となくお世話になってきました。
マレーシアも新日派で温かい人が多い、素晴らしい国です。
そのマレーシアのMASが最近は事件に巻き込まれてばかりで、ショックで心が痛みます。

今はイスラエルとパレスチナの対立も激化し、世界中のあちこちで犠牲になる市民が後を絶ちません。
悲しい出来事が多く、何かと気持ちが沈むことも多い日々ですが…犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、早く世の中が安定し平和に向かうように心から祈りたいと思います。

さて、高橋丈夫さんのENNインタビュー第4弾です。
 このインタビューは3.11の震災の2か月ほど後にされており、東北と関東の被災地とその周辺は大打撃を受けていた頃です。
 食の安全が問題になっている今ですが、農業・畜産業の現場で何がおこっているかが、このインタビューからもわかるのではないかと思います。

最近はこのブログを「カブトエビ」など高橋さん独自の農法で検索していただく方も多いようです。もとのインタビュー映像はENNの動画で全部無料で見られますのでぜひご覧ください。
この文字起こしも専門分野についてなど関係者の方に編集していただいているので、合わせて参考にしていただければ幸いです。

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4.震災による影響

―冒頭でもお話しましたように三月に大きな震災ありましたけれど、先生のところでは何か、風評被害なども含めて被害のようなものはありましたか?

そうですね、まず原発事故で放射能が流れ出てきた、となった時点で「多分風評は避けられないだろう」というふうに思って、自分たちの野菜を出荷するのをやめました。
愛媛県や長野県の知人たちから出荷する野菜を送ってもらって、今日まで二か月以上やってきました。それで五月後半から少しずつ自分のところの野菜を始めようと思って、今スタートしたところです。

卵に関しては、遺伝子組み換えなしのトウモロコシなど、各単品を独自に組み合わせた飼料で今までやっていたんですが、鹿島港が崩壊した結果、その飼料が入らなくなってしまったんです。
その当時はみんなもう大変な騒ぎでした。

僕のところではちょうど三月十一日の震災の直前の三月九日に約一か月分のエサを手に入れていたので、その騒ぎの時はなんとか乗り切れたんですけど、四月に入って、生協の遺伝子組み換えなしのトウモロコシ・大豆を使った配合飼料か、または一般の配合飼料以外は入りませんよ、ということになってしまったんです。

そこで一般配合の飼料ではない方でとりあえず急場をしのぐことになったんですね。
ところがこれが合成ビタミン剤、合成アミノ酸、防腐剤というすごい世界のものだったんです。
つまり今の配合飼料というのは、中身が良いということではなくて、鶏をまるで卵を産む機械のようにするところまで研究し尽くした結果、合成のアミノ酸で必要なものをすべて整えるという状態になっていたんですね。

僕はアレルギーを起こさない卵、腐らない卵ということを目指していましたので、これまでは自分なりに手に入る範囲の中で、いい素材、いい状態を求めて、合成のアミノ酸やビタミン剤を一切使わずやってきたんです。
しかし今回だけは大変なことになってしまったということで、とにかく自分が持てる力を出して何とかするしかないと思ったんです。

鶏のエサは一度に約2トンを作るんですが、そのうちの500キログラムだけは何とか自分が考えられる範囲で飼料を作り、その配合飼料の中に練りこんでいってエサづくりをしたんです。

ところがそうしたとたん、もう鶏が普段とは全然違って、めちゃくちゃ卵を産みましたね。
だからこれから、その反動がどういうふうになって返ってくるだろうか? という心配があります。

それから先ほども言いましたけど、もともと鶏は、コクシジウム原虫がヒヨコを死なせてしまうというのがあって、その原虫をサルファ剤という薬で消去させているから、今これほど安い卵になっているんですね。
販売されているヒナの飼料に関しては法律上、サルファ剤を入れると決められています。
ですから今回やむを得ずその規格のエサを粉砕して与えることにしました。

すると今まで僕のところでは、鶏が自分たちの持つ免疫力で超えられたコクシジウム症を、今回はなかなか克服できなくなり、結果的に大量に死なせてしまったということがありました。

そんなふうに、ここ二ヵ月ちょっとというのは、被災地の問題だけではなく、僕が今までの人生を懸けて取り組んできた養鶏の本質まで、変えざるを得ないぐらいの大きな出来事がありました。
風評被害も重なり、エサの問題も重なりということで、大変な、重い月日ではありました。

(つづく)

2014年07月03日

高橋丈夫さんインタビュー(3)生命農法による農業

一昨日の夜、ついつい、私の大事な宝物、
かわいい愛娘を泣かせてしまいました・・・。

「集団的自衛権」について説明しただけだったのですが、
いきなり泣き出して、「怖い」と言って抱き着いてきたのです。
小学校2年生でとても難しいことはわからないだろう、と思っていたけど、
子どもなりにいろいろと思うところがあるんでしょうね。

今までももちろんそうだったのですが、これからはよりいっそう、
一人一人が自分の力で自分自身や家族を守らないといけない時代になりそうです。

情報を自分で調べ、真実は何かを自分の頭で考え、智恵をもつことが、
とても大事になってくると思います。

ささやかではありますが、いち出版人として私も、
大切な情報を伝えていきたい、という思いを新たにしました。


さて、生命農法第3弾です。

寺田啓佐さんの『発酵する生き方』を編集したときも思いましたが、
微生物という小さな生き物が人間にとっていかに重要かということを思い知らされました。

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3.生命農法による農業

―ありがとうございます。
では今度は畑の農作物のことについて伺いたいと思います。
畑では先生ならではの工夫を、どのようにされていますか?

それはですね、以前、無農薬・無肥料のりんご栽培で有名な、木村秋則先生という方と同じ会場でお話しをさせていただいた時があったんです。
その時に僕が先に話をして、その中で有機農業の話をちょっとさせていただきました。
そのあと木村先生が話をされて、その時に
「有機農法は化学農法以下だ」
と言われてしまいましてですね(笑)、どんな根拠かと思ったんですが、詳しくは教えてもらえなかったんですね。

ただ、たしかに有機栽培の野菜は化学農法より腐りやすいことが多いですから、実践してみる価値はあるな、と思いました。

先ほどの卵の話の中でも言いましたが、僕はいつも様々な状況において、
「それは腐る環境か、腐らない環境か」
ということを考え、腐らない環境づくりを目指してきたんです。

だけど僕自身は鶏を飼っていて、鳥のフンという有機物がたくさんできるから、それを肥料として使っていたわけですね。
それにそもそも無肥料でできるという根拠がわからなかったんです。

根拠がわからないのに
「木村さん、あなたなんてことを言うんですか?」
と言うわけにもいきませんからね。

そこで生命農法としてはやっぱり、
「自分は本当に相手の立場に立っているのか? 
 自分の収穫だけを目的に力を注いでいるのではないだろうか?」

ということを振り返って考えようと思いました。

そのときに、
「そんな認識が今まであったのかな?」
と考えてみたら、なかったですね。
ですから、
「木村さんが行う自然農法と生命農法の穴、狭間をどれくらい自分の中で埋められるかな?
これはやっぱりやってみないといけない」
と思ってやり始めました。

それで今に至っているんですけど
「やらなきゃよかった……」
っていうくらい最初はひどかったですね(笑)。

 一年目はまあなんとかなったんですけど、二年、三年になってくると土に残っていた肥料が切れてきて、その中での飢餓状態が生まれて、とてもじゃないけれど作物が育つというようなことにはならなかったですね。

大根も本葉が何枚か出始めるともう黄色くなって、すぐ花を咲かせようとしてしまうんです。
「なんというすごい世界だ」
っていうふうに思いましたね。

でもそれ以降、少しずつ成長がみえるようになりました。

ただ、僕の土地は無肥料にはあまり適していないというふうに思っています。

なぜなら山からの水が、土中二〇センチくらいの浅いところを流れていくんですね。
それで栄養物をつくる微生物を育てるための層を、いくら一生懸命作っていこうとしても、大雨の時にすぐに崩壊してしまうということがあるんです。

できることなら土に棒が一メートル八〇センチくらいスルスルっと入るくらい、ふかふかの状態に最終的には持っていきたいんですけど、これが難しい。

この土が、穴を掘って中にサトイモとかサツマイモを埋めて、冬越しできるような場所だったら大丈夫です。
そういう意味で僕のところは若干難しかったですね。

ただ無肥料でできるという根拠はよくわかりました。

基本的には、炭素の分解がポイントですね。

要するに植物って炭水化物なんですね。
葉っぱ、茎、実とかいった、炭水化物を形成していく。
それが枯れていくと炭素だけになっていくんです。

葉っぱが落ちれば、その枯葉たちの炭素分を分解するために、窒素という栄養が必要なんですよ。

よく木の葉を寝かせる時に、昔は人糞を入れて切り替えしてやっていたと思うんですけど、それは窒素を与えるためですよね。

木の葉や草は、窒素が炭素分を分解すれば、ある程度大事な畑の栄養剤になるわけですね。

でもよく考えてみると、山の木の葉が落ちたら、別に落ちた下に人糞を撒いているわけじゃないのに、ちゃんと分解されるわけですよ。
それはなぜかというと、人間が窒素を与えなければ、当然木の葉の炭素分を分解するために、窒素を持った微生物がそこに集まってくるからなんです。
でもそこに人が窒素を入れてしまうと、その菌がいなくなっちゃうんですね。

だから枯草の炭素分と菌さえあればいいわけです。
自然に窒素を固定している菌が集まってきて、その菌の働きによって、分解活動が勝手に進むというわけなんです。

―なるほど。逆に手をかけない方がいいんですね。

一度でも手を入れてしまうと、むしろその菌の活動を妨げることになりますからね。

そして冬に、山の木の葉が落ちて、それがちゃんと分解できているというのは、低温でも炭素を分解できるような窒素を持った菌が、そこに集まってくるからなんです。

そこで、どういうふうにしたら窒素を固定した菌たちを集めて、分解してもらえるかと考えたんです。

その分解も、土の奥深くまで草などを入れてしまうと腐敗の状態になります

それは、表面の酸素を必要とする微生物たち(好気性微生物)が活躍するということです。それはわかりますよね? 

木の葉がたくさんたまって山になっているところを掘ってみると、本当の土っぽくなっていきますよね。
そこから上の方には土か木の葉かわからない層が、ずっと広がっているわけですよね。

そういう土か木の葉かわからない層をしっかりイメージしながら畑をつくっていくと、なにもしなくても栄養というものがとれていくんです。

まず大事なのはその土質ですから、地中に水が溜まりにくいところが、自然農法の条件としてはいいです。
だからそういう場所をよく調べてみると、今はすべて野菜の産地になっていますよ。

千葉の成田周辺から三浦あたりの野菜の産地、とくにサツマイモの産地なんかに行くと、地下二メートルくらいのところに穴を掘って、サツマイモの貯蔵庫まで作っています。
それは水があがってこないという条件があるということですよね。

そういうところであれば、どんな野菜でもできる。

もともとそういう条件があるのに、今の人たちはそれに気づかず、「肥料がやっているんだ」というふうに勘違いしてるんです。

それで余計な肥料をあたえることで、いろいろな病変が起こってしまい、産地崩壊につながっているわけです。

だけど本当はそういう立派な土地だから、実は肥料なんかいらない。
微生物さえ整っていればなんということはない、と思いますね。

(ここまで)
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微生物の世界は奥が深いですね。

ちょっと表現は違うのですが、これに似た話が
飯島秀行先生の『自然が教える農業のお手本』にありました。
イラストがあるとわかりやすいと思いますので、
本文よりたじまひであきさんのイラストを引用させていただきます。

35p_テネモス25_26.jpg39p_テネモス30_29.jpg36p_テネモス27_27.jpg
(『自然が教える農業のお手本』テネモスネットより)

プラスマイナスって何?というと酸化還元電位のことらしいです。

「多様な生育を示す微生物の中には、培地の酸化還元電位が生育に影響を示す場合が多い。一般的に、
・培地の酸化還元電位が低い:嫌気度が高い
・培地の酸化還元電位が高い:好気的である」
ウィキペディアより)


これをまとめると、野菜栽培で大事なのは、
「木の葉か土かわからない、ふかふかの、酸化還元電位がマイナスの土壌をつくり、
嫌気性微生物をたくさん呼び込むこと」
ということになるのだと思います。

有機肥料を与えるのは、
それぞれの微生物さんにふさわしい条件の土地ができなかったときだけに限定したほうが良いようです。

もし私たち人間が、
微生物がどんな条件で生きるか、その生き方自体を変えてしまおうと思っても、
そんなことは現実には不可能ですよね。

微生物を通して、寺田さんや高橋さんも、
「自然の法則を無視しても結局最後はうまくいかない」
「自然の法則に従えば必ず成功する」
というもっとも大事なことを学び、それを私たちに残してくださったのですね。

事実、化学肥料を使って微生物が減ったり環境を変化させてしまうと、
どんどん生育の悪い土地になってしまいますよね。

今の科学技術は残念ながら、
まだまだ自然の法則を生かし切れていないのでしょう。

この自然の法則を一言にまとめてしまうと、
「調和の世界=すべては中和されゼロに戻ること」。

その法則は、人間がどんだけ否定しようが、抵抗しようが、
避けることのできない絶対的なものなんですね。

逆に自然の法則に則って生きれば、人間も何も恐れることはないのかもしれません。

まあそれを証明せよといっても難しいので(笑)
農業もそうだし、現実社会で結果を出していくしかありません。

(4につづく)

2014年06月22日

高橋丈夫さんインタビュー(2)稲作へのカブトエビの利用

今月は古いパソコンがとうとう調子悪くなってしまい、新しいパソコンをつなぎました。

そのため部屋の模様替えをすることになり、ついでに本の在庫が置けるように棚を取り付けて、事務所のレイアウトも一新!

せっかくパソコンも新しくなったので、ホームページ作成ソフトも買い替え、事務所のホームページのトップ画面を作りかえましたexclamation

http://www.liumeis.com/

あまりに活動内容が多岐にわたりすぎてブログではよくわからない、という人が多かったようですが、これで少しはどんなことをしているか理解していただけるかと思いますわーい(嬉しい顔)

デザイナーさんのようにきれいなサイトにはならなくても、今はそれなりのサイトが素人でもつくれるし、簡単にスライドショーとかも取り付けられる時代なんですね〜。
今後は、コンピュータに詳しくないクライアントさんがサイトを作りたいときなどに、ご協力できるかもしれませんわーい(嬉しい顔)

また、「豊後国の二孝女物語」を広めよう!という運動は個人の事業としてだけでなく、地域の皆のものなので、プロジェクトのブログも開設しましたexclamation

http://ameblo.jp/liumeis/

facebookのページもOPENですグッド(上向き矢印)

https://www.facebook.com/liumeiskikaku


心機一転、新しくなったリュウメイズ企画にご期待ください揺れるハート


そんなこんなで、遅くなりましたが、高橋丈夫さんのインタビュー第二弾ですexclamation

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2.稲作へのカブトエビの利用

―次に、田んぼにもとてもユニークな先生の工夫がありますよね。
先生のところでは、田んぼの中に紅カブトエビというのが生息しているんですか?

はい、おります。
これはヨーロッパカブトエビの変種です。
山形県の南陽市というところに僕の微生物の先生がいます。
もう二十年近く前ですが、その先生が散歩中に田んぼをみたところ、茶色いヨーロッパカブトエビの中に、真っ赤なカブトエビが泳いでいたのを発見したんですね。

―紅カブトエビはとても色鮮やかですよね。

そうですね。
それで先生は「これはすごい」と思って、飛び込んでそれを捕まえて、持って返って水槽に入れていたんです。
それで翌年になって僕が先生の家に行って、五つくらいある水槽の中で真っ赤なカブトエビが泳いでいたのを見ました。
「いったい何なんですか、これは?」と言ったら、ヨーロッパカブトエビの変種だということだったんです。

僕たちの地域にはそんなカブトエビはいませんでしたので、びっくりしました。
その当時、生物除草ブームがカブトエビによってもたらされそうだったときに、たしか京都大学の先生が、三回の試験研究の結果「除草は無理です」という発表をされて、民間の人たちはみんな無理だろうとあきらめていました。
ちょうど僕が山形の先生を訪ねたときは、そういうブームが去り、除草群の話が消し飛んでしまったばかりで、除草をどうしようかと困っていたところでした。
そこで、「できるかどうかはわからないんですけど、ほんのわずか卵を頂ければ」ということで、そのカブトエビの卵を頂いてきたんです。

それを田んぼに放したんですが、三年間は一匹も見えませんでした。
 四年目になってやっと一、二匹がチラホラ見えるようになりました。
その頃になると、なぜカブトエビが除草できなかったのか? ということがだんだんわかるようになってきました。
 それはどういうことかというと、東北の山形県に住んでいるカブトエビたちにとって、初期的な状況、つまり田植え直後の田んぼでは水温が低すぎるんです。
適温とされている25℃前後の水温を得られないんですね。ですからカブトエビたちは動かないんです。その間に草が生えてしまうというわけです。
一方、アジアカブトエビがいる香川県など南の方は、暑すぎるために早く死んでしまって、後期除草におそらく支障をきたしていたんであろうと思います。

ですから、25℃前後の水温をどれくらい長く続けられるか、その工夫をすればひょっとしたら除草できるのかな? と思ってやってみました。
暑い時はたくさん水をかけ流して水温を下げたり、寒い時は水を止めてちょっと水深を深めにしたりして、約一〇年経過したときに、なんと田んぼに入らずに除草できるということが確認できたんです。

ただその大学の先生の発表があって、以前に一度消し飛んだものですから、慎重にしようということで、三年間かけて、その田んぼの除草をできるということを確信してから発表したんです。

するとたまたま東京で発表した時にスポーツ記者のカメラマンの方がいて、その方が「写真だけ撮らせてくれ」ということでいらっしゃいました。
その方が帰られた後、電話があり、「明日の朝刊の一面に載せるようにと編集長が言ってます」と言われました。
そして読売新聞の一面に載ってしまって、大騒ぎになったんです。

ベニカブトエビ.jpg
※千葉県神崎町に生息していた紅カブトエビ(撮影:寺田優さん)

―それは何年くらい前のことですか?

二〇〇二年頃だったと思います。
―カブトエビは脱皮した殻も栄養になるんですよね。

そうですね、キチン・キトサンを大量に含みますからね。
しかも毎日のように脱皮を繰り返すんですよ。

―えっ、毎日脱皮するんですか?

食べ物があればですけどね。
代掻きが目覚めの一つの合図になりまして、その時に孵化に入るんです。
それから二週間で成虫になります。
そして二週間、毎日数十個の卵を産み続けます。
だから多いもので千個〜二千個ほど卵を産んで、六月下旬から七月の初めの、約二ヵ月から一ヵ月半くらいの間に、卵を産んで勝手に亡くなっていってしまうんですね。
だから僕らにはなんの手間もかからないんです。
コウノトリさんみたいな感じで、勝手に田んぼの草だけ食べて、キチン・キトサンの衣をどんどん脱いでいってくれて、「もう除草は構いませんよ、要りませんよ」というときに勝手にお亡くなりになって、卵だけ残していってくれる。
僕たちが何もしない間に、草の栄養も僕たちの望み通りにしてくれるんです。そういう素晴らしい生き物なんですよ。
ただそれでも古代の生物ですから、どうも様子をよく見ていると、カワイイ目をしてウインクして、「人間がもっと悪いことをしていけば、私たちが人間のかわりにこの地球を守っていきますよ」と言っているようにも見えますけどね

―古代の生物なんですか?

三葉虫が祖先で、その後にできた生き物だと僕は思います。
淡水で生きられるという状態で三億年以上も存在してます。
 一番面白いカブトエビは、オーストラリアカブトエビです。
ウルルって言うんでしたっけ? オーストラリア大陸の真ん中に大きな岩がありますよね。
あそこに住んでいるんです。

 何年かに一度、雨季にあの岩の周りに大雨が降るんです。
そうするとそこにチョロッと水たまりができるんです。
そこでばーっと孵化するんですよ。
そうやって孵化して卵を産んで、水が消える頃にはもう勝手に死んでしまうんです。
それを何億年も続けて、自分たちの時代を待っているんです。すごいでしょう?

―すごいですね
だから「人類がいなくなっても、私たちに任せてください」とカブトエビたちはしたたかに言っているのかもしれません。

―カブトエビは今、先生の田んぼだけにいるものなんですか?

いいえ、僕のところにも多くの人たちがカブトエビの卵を取りに来て使っていますし、紅カブトエビ米ということで販売されている方もいます。
九州のほうでも成功したといわれている人もいます。
それに僕の家から下流に、卵がいくらでも流れて行っていますので、多分今は茨城県中心に、よく田んぼを覗いてみると、その赤いカブトエビがいると思います。
風でも飛んで行っていますしね。

―えっ、風でも飛ぶんですか? 水中にいるのに? 

カブトエビというのはもともと乾季と雨季のはっきりしているところに生息していたんです。
さきほど砂漠でも生きられるということを言いましたよね。
その生物たちがなぜ今頃日本にいるのか? ということを考えてみますと、江戸時代には確認されてないんです。
大正になって初めて香川県で見つかったというのが最初なわけですね。

じゃあ、なぜ今これほどまで増えているのかというと、僕は土地改良のためだと思います。
要するにほかの生物が入って来られないような状態になっているわけです。
今の田んぼは四ヵ月だけ水が張ってあって、あとは水がない状態ですね。
魚も住む条件が限られています。
そこで生きられるのは四ヵ月で生息可能なカエルとか、ゾウリムシといった害虫だけだったんです。

ところがカブトエビはわずか二ヵ月弱で卵を残して、生き続けることができる。
だから今増えているんであろうと思いますね。

太古になぜこの生き物が日本にいなかったかというと、昔は今みたいな田んぼじゃなくて、いたるところに水があったわけです。
小川がちゃんとあって、水たまりがあって、冬でもドジョウが捕れる場所やフナが捕れるような場所とつながっていたわけですね。
魚がいればすぐ魚のえさになってしまいますから、昔はいくら孵化してもすぐ魚に食べられてしまったんだと思います。

ところが今はコンクリート壁になってしまい、魚と一緒に住む状態がないので、魚に食べられることがない。
僕は嵐と一緒に大気中に吹き飛ばされたカブトエビの卵が、大気圏を回っていると思うんです。
それがポトンと落ちてきたのが、これほど増えているのであろうと思うんですね。

―頼もしいですね、カブトエビは。

したたかですよ。

(つづく)

2014年05月30日

高橋丈夫さんインタビュー(1)生命農法と養鶏

最近私の周りで、神谷成章さんの農法が大きな話題になっています。

新たに新日本文芸協会の組合員仲間となった、新日本文芸協会Ωオメガ出版さんが、協会顧問の大下伸悦の『新時代の食と農業へのいざない』を出版しました。

http://snb-omega.com/

そこで神谷さんの驚くべき実績について紹介され、問い合わせが絶えない状態のようです。

神谷さんが年商70億円とか、その農法を実践している方が「毎月トラック一台買える収入」とのことで、「農家は儲からない」「自然栽培・有機栽培はうまくいかない」などという常識を根本から覆してくれます。

私もこの本を読んで早速試したくなり、神谷さんの農法で欠かせないカーボンバーク肥料、「土壌が絶好調 すごいタイプ」を購入しましたわーい(嬉しい顔)exclamation

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(写真提供:ENNGショップ)

わが家の日照時間や土壌の条件が悪く、プランターや庭スペースでの農業をあきらめていたのですが、これを試してからほとんどの野菜はいまのところ絶好調にすくすく育っています。

いきいきと元気に育つ野菜を見ているだけでいやされますぴかぴか(新しい)

カーボンバーク肥料が買えるENNショップはこちらです♪
http://enngroup.shop-pro.jp/?pid=73944746

飯島秀行先生の『自然が教える農業のお手本』によると、農業ではプラスとマイナスの条件を整えて、いかにエネルギーを吸引サイクルにするかが大切なようです。

このエネルギー吸引力が強力なのが炭であり、炭化素材なのではないかと思います。

改めて、以前から炭に注目されていた、生命農法の高橋丈夫さんのお話を思い出しました。

高橋さんが後世に残してくれた言葉の中には、農業や養鶏だけでなく、生活全般にわたって私たちが健康に生きていくための大切なヒントがたくさんあるように思います。

そこで以前のブログの記事で紹介したあと3か月経ってしまいましたが、文字起こし・編集した高橋丈夫さんのENNインタビューを公開いたします。

楽しんで読んでいただき、何かの参考にしていただければ幸いですぴかぴか(新しい)

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高橋丈夫さんインタビュー

※このお話は二〇一二年五月に行われた幸塾・ENNインタビューの内容をまとめたものです。
 
<目次>

1生命農法と養鶏
2稲作へのカブトエビの利用
3生命農法による農業
4震災による影響
5光合成細菌
6放射能対策・復興に向けてのメッセージ
 
<本編>

1生命農法と養鶏
 
―(根本キャスター)今日お迎えしたインタビューゲストは、生命農法研究会の高橋丈夫さんです。

幸塾の月例会でも二〇〇八年の八月、そして二〇一〇年の一〇月に講演していただきました。
毎回高橋先生には有用微生物のお話をしていただいているんですが、本当にもう目からうろこの連続でした。
三月の東日本大震災から早くも二ヵ月が過ぎましたが、私たちがこれから乗り切っていく知恵を、高橋丈夫さんならではの視点からお話ししていただきたいと思っています。
 
(高橋)僕たちが今取り組んでいるのは「生命農法」といいます。
食べ物の生産と直接関わる状態の中で、生きるための視点をもっと具体的に深く探究していきたい、ということで名づけました。
自然農法や有機農法というものはいくつもあるんですが、要するにそれは人間の視点で見ているわけです。
ですから僕たちはもう少し違う形で、植物・動物が今何を欲しているのか、具体的にそちら側に立って、そしてこだわらずにやっていくことを考えております。
 
―ありがとうございます。植物とか動物の立場になるということですね。
 
はい、そうですね。
 
―先生のところでは養鶏、田んぼでのお米作り、そして畑の農作物という、大きく三つの活動をされていますよね。
それぞれ先生ならではの独自の工夫をされていると思うんですが、それを一つずつお聞きしたいと思います。
まず養鶏については、具体的にどのようにされているのでしょうか?
 
養鶏では今、平飼いで約三〇〇〇羽の採卵用の鶏を飼っています。
僕が二十代の時に親から引き継いだ時には、全体で一万二〇〇〇羽いました。
ところがそのすべてを薬物なしでいこうと決めてやったところ、育たずにみんな死んでしまうということがありました。
それでわずか三年で四千万円の借金を背負ってしまいました。
それが何とか育てられるようになったときに、初めて気付いたのが、鶏というのは世界中でも群れで飼われた歴史がない、ということでした。
要するに庭で五羽とか一〇羽ずつ飼うことが許されていたトリ、庭のトリなんですよ。
牛や馬のように、家畜として群れで飼われたことは世界中どこにもなかったんです。
 
ですから庭にコクシジウム原虫という寄生虫が存在していて、せいぜい一〇羽程度がそこにいるのであれば、その原虫の繁殖とヒヨコの成長が非常にうまく重なって、免疫として機能するんです。
ところがその原虫の量が多すぎると、腸内に入った原虫が腸壁をズタズタにして、ヒナのうちに死なせてしまうんです。

残念ながら僕は、そういう歴史だったということを、四千万円の借金を作ったあと気が付いたわけですよ。
その後、炭を鶏の頭からかけたりしたことで、腸内環境と外側の環境が一体である、ということに気が付いたんです。
そこで餌となる食べ物に工夫をしてやってきたところ、卵アレルギーが起こらない卵、何年経っても腐らない卵になったんです。
 
―呼吸する卵というふうに聞きましたが。
 
呼吸するということではないんです。
腐敗しないということは、腐敗する原因がないということですね。

要するに微生物や僕らの体の表面は電位がマイナスになっているんですね。
腸壁もマイナスになっているんです。
一方、悪性菌というのは硬質膜という外側の膜がプラスになっているんです。
それも含めて、全体としてマイナスの量とプラスの量のバランスが大事なんです。

つまり胃袋で酸化されて、腸でアルカリ吸収されるというひとつのリズム、酸化と還元の状態の中で、マイナス電子がどれだけあるかということです。
マイナス電子が活性酸素を消去できるぐらいまでプラス電子を上回っていればいいわけです。
この状態がちゃんと整ってさえすれば腐らないんです。

野菜も冷蔵庫で腐っていくものと、枯れていくものとがあります。
本来、枯れていくものというのは、生命力があるものです
人間も体が腐って死んでいくものではなく、枯れて死んでいくものなんです。鶏の卵だってそうです。
だから、最後は枯れていくことが命にとって最も理想的なんです。

ですから卵の場合は、そういう性質に立ちかえっていくという努力をずっとやってきました。


(2につづく)